2014年4月7日月曜日

西野 努コラム「結果とプロセス」

[2012年12月号 FORCEより]

毎年出場させてもらっているスポーツオーソリティーカップで、今年は見事全国大会で準優勝することができた。大会自体は参加チーム数からしてみれば、どこまで真の日本一を決める大会に近いかは何とも言えないが、今回全国大会へ参加させてもらい、改めてその価値を感じることができた。

私はサッカーを始めてプロサッカー選手になるまで、全国大会へ一度も出場したことがない。大学時代に学生選抜に選ばれ、地域対抗戦に出場させてもらったことが大きなきっかけだった。その大会では全国を5か6地域にわけて、各地域選抜チーム同士があつまって競うのだが、当然Jクラブのスカウトも注目している大会だった。そこで、優秀選手(確か、32名)に選ばれて東西対抗という試合に出場させてもらった。これが自分にとっては自信となった。当時の大学サッカー界でのスター選手達(秋田豊・三浦文丈・藤田俊哉・名波浩等等)と一緒にプレー(対戦)したことで、自分の立ち位置を何となく感じることができたのだ。“同じ年代のトップレベルのプレーはこんな感じか。だったら、俺もそこそこできるのではないか!”というなんとなくの実感だった。
そんな実感をしたころから、プロチームから練習参加の打診がくるようになり、一気にプロ選手になる流れに乗って行ったことを覚えている。

自分のレベルとか、立ち位置を感じる機会は、サッカー選手にとって重要な機会となる。“まだまだだな”と感じることも大事だし、“もう少しやれば、追いつけるかも”と期待を持てることも大事だ。
今回のスポーツオーソリティーカップは、そんな機会を参加した選手達に提供できた。決勝での対戦相手は大分県からの参加チームで今年の夏の全国大会に出場し、ベスト16に入ったチームだったそうだ。我が埼スタチームはそんなチーム相手に2度もリードされながらも同点に追いつき、PKで敗れたわけだが、互角以上に戦っていた。贔屓目に見てしまっているかもしれないが、サッカーの内容は埼スタチームの方が面白いものだった。1人1人が個性を表現していたし、出場選手達がみな同じように活躍し、かつ、チームとしても機能していた。個々のレベルをみれば、間違いなく埼スタチームが平均的に非常に高いレベルにあった。そして、クレバーなプレーだった。

今回の大会で、参加選手達は自分たちのレベルを少しでも感じてくれたのではないかと思う。結果は全国大会の準優勝ということで、それはそれで素晴らしいことだが、強い対戦相手に互角以上の戦いをしたという経験は選手達へ自信を持たせてくれたはず。このような経験が、サッカー選手としては大切だと思う。

よく、少年サッカー指導者の間でも、結果を重視するか、育成を重視するかという議論がされるし、永遠の答えがないテーマではあると思う。育成が大切であることは間違いない。
一方で、育成ということを大命題としたうえで、そのために結果がおおきく育成に貢献することもある。
この結果と育成(プロセス)のバランスをうまくとれる指導者が優れた指導者なのだと思う。

【このコラムは2011年5月〜2014年3月 埼玉スタジアムサッカースクール会員向けに発行していた月刊情報誌FORCEに掲載されたものです。】

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