2014年4月7日月曜日

西野 努 コラム「節目となる進路」

[2011年11月号 FORCEより]

秋になり、Jリーグ選手にとっては、契約更改の通知を受け取る時期(Jリーグ統一契約書では、11月末までにクラブは選手へ通知する義務がある)。小学校6年生達にとっては来春以降の進路を決めなければならない時期になってきました。一昔前とは違い、選択肢が複数あるだけに保護者にとっても本人にとっても悩ましい時期なのではないでしょうか?

3つの選択肢

サッカーでの進路という意味では3つの進路が考えられます。
1. Jリーグクラブのアカデミー・JFAアカデミー
2. 地域のクラブチーム
3. 中学校のサッカー部

JリーグクラブやJFAのアカデミーは当然セレクションがあり、かなり狭き門になっています。中学生の時から、トッププロを身近に感じながらレベルの高い指導が受けられるという点では、エリート育成機関だと言えるでしょう。しかし、一方で学校や住んでいる場所から遠かったり、家へ帰る時間が10時や11時を過ぎたりするなど、犠牲にしなければならないことも少なくはありません。また、指導者はサッカーの指導のみになるので、人間面での指導や教育がどの程度出来るかはそのクラブや指導者次第になってきます。

地域のクラブチームも最近は数も増え、優秀な指導者が増えてきています。彼らは主にサッカーの指導を仕事としているプロのコーチなので、レベルの高い指導が期待出来ます。人気のあるクラブでは、やはりセレクションに多くの選手が参加し、年々狭き門になってきているクラブもあるようです。
中学校のサッカー部は、いろいろな難しさを抱えています。まず、運動部の顧問の先生が指導にあたりますが、必ずしもそのスポーツを経験している人ではなく、また土日の引率については全くの無償となるそうなので、好んでやる人が少なくなっているそうです。心身の成長が著しいこの年代では、しっかりとトレーニングもする必要があり、まだまだ選手任せにすることができないことから、熱心な先生の存否が選手の環境を大きく左右することになります。もし、熱心な先生がいるサッカー部であれば、生活態度や学業の成績等も頭に入れつつサッカーの指導にも当たれることから、Jクラブや地域のクラブチームにはない人間教育という面にも取り組んでもらえるというメリットがあります。

高校・大学の進路も?

いろいろな中学生年代の指導者と話しをしていると、高校以降の進路も面倒を見てあげることが求められていると聞きます。「どこどこのジュニアユースクラブへ行けば、指導者のコネクションでどこどこの高校へ入れてもらえるらしい」等等。所謂、サッカーにおいての推薦入学と言えるかもしれません。
私は日本のスポーツ推薦入学制度には大きな疑問を感じています。高校生の年代で競技に集中できる環境は、アスリートの育成という点ではすばらしいと思いますが、人間の育成と教育という観点では、決していいことばかりではないと思います。サッカーの能力だけで進学をすることは、結果としてはありだと思うのですが、決して目指すべきところではないと思うのです。推薦入学制度というものはあくまでもがんばった人へのご褒美的なものとしてとらえておくべきではないでしょうか。

☆  ☆  ☆
勉強もサッカーも、子ども自身がやりたい、行きたいと思わなければうまくいかないものだと思います。大人からのある程度の情報提供や強制も必要であることは間違いありませんが、最終的には本人の希望を優先させてやりたいですね。(理想論ではありますが)
強制と自主性・Teaching と Coaching。
バランスがいつも悩ましいところです。

【このコラムは2011年5月〜埼玉スタジアムサッカースクール会員向けに発行していた月刊情報誌FORCEに掲載されたものです。】

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